⑨追い出されたママ友の末路とは
結局、彼女と出会ったスーパーの日も、それ以降も彼女はアパートには帰っていませんでした。
一方、御主人は仕事を休み、引きこもり。
旦那から様子を伺うには、
「なんか喋り方変になってたよ。前は、しゃしゃり出るように話してたのにね。しかも奥さん、もう働いてるんだってね。御主人の支店だって。会社になんて言ってんだろね。」
ちょっとびっくりしました。
御主人は会社にはなんと言って休んでいるのだろうと。
会社が御主人様の理由を知ったら、彼女は会社に行きづらくないのかな?きっと御主人が休んでいる時の状況を会社の人に聞かれたりするんじゃないかな?(御主人は良い位置にいる人なので)
そして身を寄せてる彼女の実家はそういう締め出し方をされた娘をどんな気持ち受け止めているのかと思うと、胸が痛みます。
彼女は優等生で、親からずっと褒めてもらったと聞いていました。
そして、誰よりもこの結婚の祝福してくれたそうです。
そして、彼女は義両親に真摯に尽くしてきました。
義理でもちゃんと期待に応えていました。
そして本当は余り好きでは無いことも私に教えてくれました。
義家族の付き合いにも耐え抜いていました。
彼女は、周りに言えない話を「実はね」と言って茶目っ気の目で私に話してくれていたのです。
私と彼女が初めて出会った時、どちらの子供も泣き止む事なく激しく泣いていました。
正直、うるさすぎて私達の会話は互いに聞こえてなかったのですが、互いに涙目だったのを思い出すのです。
むしろ会話なんてどうでもよく、恐ろしいほど色んな事で(互いの義家族問題を含めて)追い詰められてしまった母親同士が唯一安らいだ大切な時間を共有していました。
互いに追い詰められてた時期に彼女から聞いた言葉は、
「あんなに自分を追い込んで受けた受験なんて大したことなかった。毎日の地味に追い詰められるこの生活の方がずっと辛い。近くにいる人が敵に見えてしまう。」と言っていました。
そして、
「旦那にキレればキレるほど、自分が傷つく。」と言います。
「どの穴から出れば助かるのか分からないくらい苦しい。終わりが見えない。」と続けました。
そして、それでも旦那から別れを告げられるくらいなら自分から別れたい。それはプライド!とも言っていました。
あの時の言葉は彼女のプライドだったのだと思います。
そして、私も強く共感してしまいました。
死ぬほど勉強しようが、仕事に明け暮れのようが、引き戻る事は出来る。
でも、子育てはそんな自分勝手なこと出来ない。
そして、今迄持っていたプライドは今にも崩れそう。
今回、初めて彼女は私に嘘を突き通しました。いつもなら、舌をペロっと出して
「実はね、、」と苦笑いしながら真実を語ってくれたのに。
今回は、嘘を貫かないと居られないくらい辛いのだと思います。
何もかも完璧を手に入れていた彼女に突如生まれたデカイ壁。
どんなに完璧にしようが、ほこびれが目につく。
イライラが募る。
そして一番大切にしていたはずの、身近な人間を傷つけてしまった。
そして、最後の彼女のプライドまで奪われようとしています。
生まれて初めて人から拒絶された事にどんな気持ちでいるのだろうと思うと、胸が張り裂けそうになります。
そんな深い悲しみを他所に。
御主人はなんとも違う完璧さを求めていた。
今もそうです。
唯一の希望は、御主人がもっと彼女の内面に気がついてくれたらいいのになと願うばかりです。
人の夫婦にぶっこんだ、大変お節介な話ですが、彼女に似た気持ちを持つ私は他人事には見えませんでした。
彼女の気持ちがどうしても心から離れません。
私に言えないこと、言えるよりももっとも辛いのだと思います。
だけどね、彼女と根っこが少し似ている私は明日は我が身だと思うです。